魔法剣という魔法の有用性について
概要
現在，ありとあらゆるファンタジー世界において，
魔法システムが構築されている．
一概に魔法といっても，それぞれのファンタジー世界において
定義が異なっており，魔法の体系化が重要な課題である．
本日記では魔法の体系化の一つとして魔法剣という魔法について考察する．
魔法剣という魔法体系は一時的に剣に炎や雷をまとわりつかせて攻撃すると言う，
視覚的に非常にかっこいい魔法体系である．
しかしながら，剣術にも魔術にも精通していないといけないため，非常に使い手を選ぶ．
また，他の体系より，得られる効果が少ない．
本日記では魔法剣という魔法体系の有効性について検証し，
魔法剣という魔法体系が実際に戦闘で使われることがないことを説明する．
魔法剣の定義
魔法剣というと主に二つの意味がある．一つは魔法がかかった剣を作り出す魔法体系であり，
もう一つは，剣（あるいは武器全般）に一時的に魔法をかける魔法体系を指す場合である．
本日記では後者の魔法剣の意味で魔法剣を定義する．
ＴＲＰＧでは魔法剣はソードワールドＲＰＧではエンチャント・ウェポン，ファイア・ウェポン，
ＧＵＲＰＳでは火炎武器，氷結武器といった魔法が存在している*1．
上記の例ではこれらの魔法は魔法剣という領域では独立していない．
魔法剣という魔法領域の概念が日本のコンピュータＲＰＧで現れたのはおそらくFF5が初出である．
FF5では魔法剣士というジョブが存在しており，魔法剣はそのジョブのみが行使することが出来る魔法である．
魔法剣は接触している武器でないとかけられない場合と遠距離でも武器にかけることが出来る２種類がある．
魔法剣の有用性（接触でしか使えない魔法剣の場合）
接触でしか使えない魔法剣(e.g. FF5)などでは，魔法の使い手＝剣の使い手なので，使用するものが
両方に長けていると言う非常にまれな逸材でなければ，使うことが出来ない．使い手があまりに限られるので魔法の一ジャンルとして成立するだけの人がいるかどうかというと非常に難しい．
さらに，魔法剣は物質に魔力を付与すると言う性質を持つ．
したがって，本来魔法が備わっている物質に対しては魔法同士が干渉するためか
魔法をかけることが出来ないまたは困難が伴う場合が多い(e.g. FF5，ソードワールド)．
つまり，既に魔法の剣を持つキャラクターにとっては魔法剣の魔法は何の役にも立たない．
優秀な剣士であれば，魔法の剣をおそらく携えていると思われる．
魔法の剣というのはお金で解決できるだろうが，技術というものは短期的につくものではない．
剣術と魔法剣の魔法に時間を分散した魔法剣士より，
剣術のみを磨いて，時期がきたら，魔法の剣を買った剣士の方が
戦闘において強いだろう．ましてや，剣術のみ学ぶ方が簡単である場合，
皆，魔法剣の魔法など学ぼうとしないだろう．
魔法の剣を手に入れた瞬間，今までの技術の有効価値が下がるような魔法は
世間的にも受け入れられないので，接触でしか使えない魔法剣の魔法は
現実には存在しにくいのではないかと考えられる．
魔法剣の有用性（遠距離で使える魔法剣の場合）
遠距離でも魔法をかけることが可能な場合は戦闘において戦士のサポート魔法として，
非常に有効である．
しかしながら，遠距離の味方の剣に魔法がかけることが出来ると言うことは，
遠距離の敵の剣にも魔法をかけることが可能と言うことにも他ならない．
味方の剣を炎に包ませることが可能であるなら，敵の剣を炎に包ませることも可能であるはずである．
また，木製の武器にかけることが出来る*2ことを考えられると特に材質も関係ないようである．
つまり，ちょっと，魔法をいじれば，柄の部分に炎の剣の魔法をかけて剣を持たせられないようにすることも可能である．
さらに進展させるなら，鎧や服に魔法剣のような魔法をかければ，あっというまに火達磨にすることが出来るかもしれない（外道と言われそうだが）．わざわざあたるかあたらないかわからないファイヤボールを投げるまでもない．
魔法剣を使える技量（物質を操作する技量）があれば，これだけ強力な魔法を使いこなせる．これだけ強力な魔法が使えるなら，魔法使いとしては充分すぎる力量があり，もはや魔法剣の魔法を必要とする序盤とは言いがたいのではないだろうか？
まとめ
- 接触でしか使えない魔法剣は魔法の剣を拾うと役立たず．その上，肉体的にも優秀でないといけないので魔法体系が出来るほどの使用者は現れそうもない．
- 遠距離で指定した相手に魔法剣をかけられるなら，もっとえげつない魔法を使うことが可能そうである．
- 以上の２点より，魔法剣という魔法体系は実際に戦闘に使われることはないと思われる．
